芭蕉 行春にわかの浦にて追付たり 4月30日(旧暦 三月十一日)日曜日  牡丹華(ぼたんはなさく)*

 行(ゆく)春にわかの浦にて追付(つい)たり 芭蕉

貞享五年三月三十日(1688年4月30日、335年前の今日)、3月尽すなわち暦で春尽きる日に和歌の浦で詠まれたと考えられる句です。「笈の小文」に芭蕉は、「和歌」と前書してこの「発句」を記しています。ちょっとユーモアが感じられませんか…

「笈の小文」では、掲句のあとに「紀三井寺」と前書風に書かれ発句はありませんが、「見あぐればさくらしまふて紀三井寺」という句が伝えられています。「菊苗集」(文化七年刊1810年)に紀三井寺の翁塚の句として収録されているそうです。現在、同寺には芭蕉像と共に句碑が建立されていますが、残念なことにこの句は存疑句とされています。

*貞享暦の七十二候では、「霜止出苗(しもやんでなえいず)」でした。

chatGPT斎 今日の一句  波音に溶け 鳥の声遠く 暮春

以下、「(公益社団法人)俳人協会・俳句文学館」HP「今日の一句:2019年04月」の「四月九日」欄からの引用です。

はなびらのつけねのいろもはるのはて落合水尾

暮春。春たけてゆく陽光を浴びて、花びらの付け根の色が鮮明。そこにも春の終りのたぎるような叙情を見た。

「 落合水尾集」
自註現代俳句シリーズ六( 三四)

コメント

このブログの人気の投稿

芭蕉 ちゝはゝのしきりにこひし雉の声 4月27日(旧暦 三月八日)木曜日

芭蕉 夏草や兵どもが夢の跡 6月29日(旧暦 五月十二日)木曜日

蕪村 牡丹散て打ちかさなりぬ二三片 6月13日(旧暦 四月二十五日)火曜日