一茶 かきつばた烟かゝらぬ花もなし 5月13日(旧暦 三月二十四日)土曜日

かきつばた烟かゝらぬ花もなし 一茶 

「寛政三年紀行」四月十一日(1791年5月13日、232年前の今日)の条に、「十一日 浦和の入口に月よミに宮あり。いさゝかの森なれど、いとよく茂りぬ。 わる眠い気を引立るわか葉哉  大宮といふ所に、むさしの国一の宮といふ大社有。(略)この里ハ、家々のいただきにさまざまの草を植る。何となくいにしへめきて、さながら巣居のありさまとも思ふ。(掲句)熊谷本町三浦玄正ニやどる。」とあります。 

浦和は中山道日本橋を出て3番目の宿場で、次が大宮宿、熊谷塾は8番目、浦和宿から熊谷宿まで約十里。「この里」は大宮ではなく、熊谷宿の一つ手前の「鴻巣宿」のことかもしれません。もしそうなら、「家々の」以下は、「鴻巣」という地名からの連想で「わる眠い気」のなせる幻影であると読んでみたくなります。ただし「芝棟(草棟)」の民家は岩手県に多いものの東北や関東に残されており、埼玉でも当時普通に見られたはずで、かきつばたと似た花の咲くイチハツが棟に植えられていました。一茶は、その花の咲いた屋根を見たに違いありません。

chatGPT斎 今日の一句  杜若の花びらに転がる妄想の数々

コメント

  1. https://www.tozai-as.or.jp/mytech/00/00_fujimori03.html
    防水事業共同組合の資料に書かれてるのがおもしろい🤣
    たんぽぽハウスの原型。
    最適はニラのようですがカキツバタも乾燥に強いのですね。

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  2. 屋根に植えられていたのはイチハツで、一茶がカキツバタと見誤ったのだと思われます。
    ちなみに、カキツバタは水中や湿地に生育しますのでないでしょうが、アヤメなら乾いたところで育ちますから屋根に植えられていた可能性があるかもしれません。ただ、イチハツには防風効果があるという迷信があったとのことですから、一茶が見た花はやはりイチハツだったのでしょう。

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