其角 羽ぬけ鳥鳴く音ばかりぞいらご崎 6月23日(旧暦 五月六日)金曜日

羽ぬけ鳥鳴く音ばかりぞいらご崎  其角

「いらごの杜国例ならで、うせけるよしを越人より申きこえける。翁にもむつまじくて、鷹ひとつ見つけてうれしと迄に、たづね逢ける昔をおもひあはれみて」と前書して、其角は詠んでいます。元禄三年五月十七日(1690年6月23日)のことです。

名古屋の越人から杜国訃報が届いたのでしょう。芭蕉は、貞享四年(1687年)十一月伊良湖崎に蟄居中の杜国を越人と尋ね、貞享五年(元禄元年1688年)伊勢で落ち合い春から夏にかけて吉野から須磨・明石に至る「笈の小文」の旅を共にしていました。芭蕉最愛の弟子杜国*が、三月二十日に亡くなりました。芭蕉が知ったのは四月上旬だったようです。

*元禄三年正月十七日付万菊丸(杜国)宛書簡に、芭蕉は「いかにしてか便も無御座候。若は渡海の舩や打われけむ、病変やふりわきけんなど、方寸を砕而已(くだくのみに)候」と書き出し、末尾には「正・二月之間、伊賀へ御越待存候」と杜国へ想いを伝えています。 

Bing亭 今日の一句  雲間より 鷹が現れて消えるかな


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