其角 いつの間にお行ひとりぞ夏の月 6月25日(旧暦 五月八日)日曜日

いつの間にお行ひとりぞ夏の月  其角

「日待*酔しらけて、みな迯(にげ)ちりたるあとにひとり灯をかゝげたる有がたさよ」と前書があります。「花摘」元禄三年五月十九日(1690年6月25日)の条です。

酔って**眠りこけた其角ひとり残して日が明けるの待たずにか、明けた途端に講の参加者は帰ってしまったのでしょう。其角は日蓮宗ですから、宵の口はお上人のお経や太鼓などもあってにぎやかだったのでしょう。

*「広辞苑」によりますと、日待は「前夜から潔斎して寝ずに日の出を待って拝むこと。一般に正・五・九月のの吉日を選んで行い、終夜酒宴を催す。」とあります。15、19、23、26日や甲子(きのえね)・庚申に日が多かったようです。  **芭蕉の其角宛書簡に、尊朝親王の作といわれる飲酒一枚起請文を冒頭に記して説明したうえ、「ちょと写し来候。貴丈つねづね大酒をせられ候故、此御文句を写して大酒御無用候。云々」と弟子の大酒を気を使いながらも戒めています。

Bing亭 今日の一句  黙然と 宴了えたり 月明かり

以下、「(公益社団法人)俳人協会・俳句文学館」HP「今日の一句:2021年06月」の「六月二十六日」欄からの引用です。

地震(ない)月真なり米田双葉子

今まで経験したことのない強い地震で戸外にとび出した。道路も揺れていた。ふと見上げると真赤な月が真上にあった。気味の悪い赤さであった。

「米田双葉子集」
脚註名句シリーズ六( 四七)

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