其角 沓作り藁打宵の蚊遣哉 6月27日(旧暦 五月十日)火曜日 菖蒲華(しょうぶはなさく)
沓作り藁打宵の蚊遣哉 其角
「市の仮屋のいぶせきに」と前書があります。常設でない市の仮小屋が汚らしかったのでしょう。ふつう藁仕事は冬ですからこの時期の藁なら麦藁です。そこで麦藁の笠などを掛け並べた店先で、どういうわけか冬に履くような藁沓を蚊遣を焚いて作っていたのかもしれません。
其角はそれがおかしくて詠みましたと想像します。もしかしたら、飾り物にする沓だったのかもしれませんが…
「花摘」元禄三年五月二十一日(1690年6月27日)の条です。同日には「旅人や暁がたの蚊の行衛(沾荷)」と「蚊遣火や結分たる縄簾(百里)」の句も掲載されていますので、題詠の可能性もありますが、前書から嘱目の句と思う方が楽しめます。きっと珍しい光景だったのでしょう。
今日は、七十二候の「菖蒲華」です。
chatGPT斎 今日の一句 沓底の 蚊の遺伝子 足跡に

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