山頭火 青田いちめんの長い汽車が通る 7月11日(旧暦 五月二十四日)火曜日
青田いちめんの長い汽車が通る 山頭火
「其中記」昭和8年(1933)7月11日の条に「天気明朗、心気も明朗である。/釣瓶縄をすげかへる、私自身が綯うた棕梠縄である、これで当分楽だ、それにしても水は尊い、井戸や清水に注連を張る人々の心を知れ。/百合を活ける、さんらんとしてかゞやいてゐる、野の百合のよそほひを見よ。/椹野川にそうて散歩した、月見草の花ざかりである、途上数句拾うた。」として、掲句のほか「ふるさとちかく住みついて雲の峰 水をわたる高圧線の長い影 日ざかりのお地蔵さまの顔がにこにこ」などの句を採録しています。
小郡下郷矢足地区の其中庵から椹野(ふしの)川は東に2㎞程の距離にあり、川の手前で鉄道を越えます。SLやまぐち号が今も走る山口線で、そこを通る長い汽車を見たのだと思います。
また同日午後のことでしょうか、「蜩! ゆふべの窓からはじめて裏山の蜩を聞いた。」「或る日はしづかでうれしく、或る日はさみしくてかなしい、生きてゐてよかつたと思ふこともあれば、死んだつてかまはないと考へることもある」など書き連ね、「昼寝の顔をのぞいては蜂が通りぬける 心中が見つかつたといふ山の蜩よ」などの句を山頭火は詠んでいます。
chatGPT斎 今日の一句 無限鉄路 長い汽車が 時を刻む


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