芭蕉 秋ちかき心の寄や四畳半 8月11日(旧暦 六月二十五日)金曜日

秋ちかき心の寄や四畳半 芭蕉 

「元禄七年六月二十一日大津木節*庵にて」と前書があります。同日(1694年8月11日)、惟然、支考と巻いた四吟歌仙の発句です。脇は木節の しどろに伏せる撫子の露。

元禄七年は閏五月があり、立秋は六月十六日でしたから「秋」と詠んでもよかったのですが、芭蕉はあえて六月二十一日で「秋ちかき・ちかき心の寄や」と詠んだのだと思います。この日は芭蕉に近しい女性だった寿貞尼の三七日に当たり、木節の配慮もあり四畳半の茶室で寿貞尼を偲ぶ会として開催されたようです。なお、「寄」の読みは「ヨル」が通説となっていますが、土芳は「ヨリ」であると直接芭蕉から聞いたと書き残しているそうです。

*木節は大津の医師で、この4か月後に大坂で芭蕉の最期をみとることになります。

コメント

このブログの人気の投稿

芭蕉 ちゝはゝのしきりにこひし雉の声 4月27日(旧暦 三月八日)木曜日

芭蕉 夏草や兵どもが夢の跡 6月29日(旧暦 五月十二日)木曜日

蕪村 牡丹散て打ちかさなりぬ二三片 6月13日(旧暦 四月二十五日)火曜日