芭蕉 旅に飽きてけふ幾日やら秋の風 8月5日(旧暦 六月十九日)土曜日
旅に飽きてけふ幾日やら秋の風 芭蕉
尾張円頓寺で三日月の句を詠んだ芭蕉は、その後鳴海の知足亭に入り貞享五年七月十日(1688年8月5日)鳴海の児玉重辰亭で、知足らと七吟歌仙を巻きます。発句は芭蕉 初秋は海やら田やらみどりかな 脇は重辰 乗行馬の口とむる月 第三、藁庇霧ほのぐらく茶を酌て 知足でした。芭蕉が小夜の中山辺りで、馬に寝て残夢月遠し茶のけぶり と詠んだのは貞享元年八月二十日過ぎのことで、重辰、知足ともこの句を踏まえています。貞享元年~二年の「野ざらしの旅」の折にも、芭蕉は鳴海を訪れ*、知足や重辰らと連句を巻いています。
「初秋は」とありますように、貞享五年七月十日は立秋でした。掲句はこの日の吟で、七吟歌仙が満尾したあと詠み連衆の誰かに書き与えたものではないかと思います。「秋立日」と前書した真蹟懐紙が残されています。貞享四年十月二十五日に江戸発足した旅は、9か月目に入っていました。「旅に飽きて」とありますが、芭蕉はこの後更科の月を賞でて八月下旬に江戸に戻り、翌三月におくのほそ道に旅立つのですから、まったく飽きてはいなかったと思います。
chatGPT斎 今日の一句 秋の風 稲穂合せる 収穫歌
*5月6日の条を参照ください。
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