芭蕉 高水に星も旅寝や岩の上 8月8日(旧暦 六月二十二日)火曜日 立秋・涼風至(りょうふういたる)

高水に星も旅寝や岩の上 芭蕉 

昨日に続き洪水の句です。元禄六年七月七日(1694年8月8日)、雨の中芭蕉庵を杉風が尋ねきて詠み合った折の芭蕉句です。

「初秋七日ノ雨星ヲ弔フ」と題する真蹟懐紙に、「元禄六、文月七日の夜、白浪銀河の岸をひたして、烏鵲も橋杭を流し、一葉梶吹折るけしき、二星も屋形をうしなふべし。こよひ猶、ただに過さむも、残多しと、一燈かゝげそふる折節、遍照・小町*が哥を吟ずる人有。これによって、この二首を探て、雨星の心をなぐさめむとす。/ 小まちがうた 芭蕉」として、掲句。「遍照がうた  杉風 / たなばたにかさねばうとしきぬ(絹)合羽」とあります。

*奈良県の石上寺の詣でた小野小町が翌朝帰ることになり、偶々居合わせた遍照との間で詠み合った「岩の上にたびねをすればいと寒し苔の衣をわれにかさなむ 小町」「世にそむく苔の衣はただ一重かさねばうとしいざふたりねむ 遍照」の歌です。 両句はそれぞれを踏まえて詠まれています。

今日は、立秋。七十二候 涼風至です。なお、元禄六年の立秋は暦上二日前の七月五日でした。

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